2006年07月

2006年07月12日

「在日米軍再編」と各自治体における国民保護計画の関係は、一見見えぬ構図になっている。また、昨年10月29日「在日米軍再編」の中間報告が発表されたが、市民団体においても然程話題にならなかった経緯がある。さらに「在日米軍再編」は沖縄の基地軽減問題としてマスコミに取り上げられた関係で、地域住民と国民保護法との関連意図付けは殆ど関心を呼ばない状況を呈していた。
 
ご周知のように、国民保護法は「武力攻撃が予測されるに至った事態」の国民の「自発的な協力」と「避難」が主な目的で作られている。特に第一義的には住民への理解を「避難する」ことに求めている。従って、先ず避難訓練という形をもって各地域住民の理解に勤めている。折りしも、近年警戒されている大型地震災害による被害の「避難訓練」は、特に和歌山の場合は東南海地震の避難訓練はそれだけでも必要性のあるもので、自衛隊との一体化訓練は不思議でない状況を既に地域的に有している。和歌山県の場合でも3年前から特に紀南地区で自衛隊との大規模訓練が実施されている。
 
2003年11月、太平洋に面した御坊市美浜町の県立自然公園煙樹ヶ浜に自衛隊の水際地雷敷設訓練計画が持ち上がった。この地区には計画以前から陸上自衛隊和歌山駐屯地第303施設隊が本来任務、災害派遣等にも備えた建設部隊として地元に受け入れられてきている経緯がある。
 
この計画の発表と国民保護法の制定を条件とした同年6月の有事関連三法の成立は、歴然とした因果関係と理解できるもので周到に計画されていたと考えられる。さらに翌年、地雷敷設車購入予算執行にともない施設隊が「第304水際障害中隊」に再編されている。この段階で地元住民団体、和歌山市の市民団体は侵略を前提とした戦争訓練であると第304中隊、美浜町に抗議申入れを行っているが、残念ながら「在日米軍再編」での米軍世界戦略の一環、軍事訓練だと誰もが認識できなかった。国民にそれらしく広報されたのは、2004年後半にマスコミを通じて米国との安全保障会議「2プラス2」という名称でしかなかった。この時点での会議で昨年発表された「在日米軍再編」中間報告の概要を把握、理解していた人は極めて少ないと考えられる。
 
国民保護法の基本的な概念は、国家、社会をとりまく多様化している危機的要因、地震、台風災害、大事故、テロ事件、さらに有事を想定してのものである。所謂マルチハザードの概念である。さらに、それに対処する為の「民間防衛」の考え方も含まれている。従ってその為の「自発的な協力」である。「避難」と「協力」の混在一体化した訓練は「防災」、「防衛」も兼ねたもので必然と自衛隊との訓練が要求されるのは当たり前といえるものである。しかし、ここで原点に戻って考えなければならないのは、この緊急事態を想定した訓練は2001年の9・11事件による米国の先制攻撃によってもたらされたということである。今日の防災訓練は、ブッシュ政権の先制攻撃防衛論がなければ現在の訓練の形をとっていないといえる。

ここで、地雷敷設車が美浜町でどのように住民にお披露目されたかを述べる。地元では煙樹海岸機雷訓練計画に猛反対しているが、既に再編された「第304水際障害中隊」には昨年2台目の敷設車が投入されている。4月の白浜町での防災訓練、7月の美浜町での防災訓練、さらに、9月11日には陸海空3自衛隊に拠る、各地から多数の連隊を動員した大規模な東南海・南海地震対策総合訓練を煙樹ヶ浜で実施している。当然これらの訓練では地雷敷設車への試乗も兼ねて実施されている。また、ご丁寧に地雷敷設車には防災訓練車の看板が掲げられている。

さらに、4月23日陸上自衛隊和歌山駐屯地44周年式典では水際地雷敷設車から餅まきまでしてのお披露目興行を行い住民への心強い助っ人防災車のイメージ刷り込みに躍起になっている。従って、地雷敷設車を駆使した頻繁な訓練の状態は通常の地域防災訓練の域を逸脱している。煙樹海岸機雷訓練に向けての早期実施を目論んでのものだろうが、この訓練の性急性は今日の日米関係の背景を考えれば自ずと理解し得るものである。

殊に2004年の「2プラス2」段階の雲域から押し並べて理解できる状況にあったと今からでこそ断言できるものであって、計画発表当時国民の殆どは理解できなかった。しかし、現時点において既に現実はきっちりと既成事実を積み上げていた。その後、日米合同訓練の報道は一気に出始めた。陸上自衛隊隊員約200人が米カリフォルニア州で約3週間、海兵隊と共同の初めての上陸訓練を行ったことが2006年1月9日に報じられた。

既に日米合同訓練は始まっていた訳である。「在日米軍再編」は現実に各地域の特性に応じた形で実施されることになっていた訳である。国民がその現実を知ったのは、05年10月29日、折りしも前日の28日自民党の新憲法草案が発表された翌日であった。しかし新憲法草案に釘になった国民は29日の中間報告に目もくれようとはしなかった、というよりはその余裕がなかった。そして、如何なる状況においても、9条を死守することで魔の手を振り払うことが可能であると自己に信じ込ませ、地域的、我が身的には関係ないと高を括っていた嫌いが見受けられた。

ところが、今年の3月12日岩国市での「在日米軍再編」を巡っての「厚木からの空母艦載機部隊を岩国基地への移駐案受け入れの賛否を問う」住民投票では住民の半数を超える人の反対が表され、4月23日の合併に伴う新しい岩国市の市長選でもそれが証明された。岩国市民は「在日米軍再編」にはっきりと反対の意思を国に突きつけたのである。沖縄普天間飛行場の移転問題、岩国住民投票の話題と一気に「在日米軍再編」問題がクローズアップされるようになった。そのことはNHKスペシャル番組が3夜連続でこの問題を放映したことからも伺える。

そうこうしていると、5月12日午前9時に突然和歌山下津港第3岸壁に、米海軍第7艦隊所属の巡洋艦「カウペンス」が入港してきた。突然と記しているのは、マスコミに公表されたのが二日前の夕刻だったことから市民は前日しか知らされなかった。これについての県側の答弁は、日米地位協定に基づく入港受け入れで法的に問題はないということであった。目的は乗組員の休養と親善、施設慰問を兼ねた3泊4日の入港である。米艦の入港は、2001年8月に日米地位協定に基づき、クッシングとバンデグリフト2隻の米艦が同じ目的で入港している。しかし、今回の入港は、2001年の入港時とは多様な理由により基本的に違ったものである。既に、昨年から協議が続けられていた在日米軍再編協議が4月23日ワシントンで最終合意が出来ているからだ。
 
さらに暇つく間も無く、6月16日自衛隊護衛艦「せとゆき」、「やまゆき」が入港した。目的は年次行事の「国民とのふれあい」ということだが、今年の防衛安全保障論議から単純に受け入れる訳にはいかない。5月30日、「在日米軍再編」が閣議決定され、6月9日、防衛庁の「省」昇格も閣議決定されている。従って、これに基づき「自衛隊法」が改正される。即ち、改正により、「相互防衛援助協定」に基づいた周辺事態での「我が国の平和と安全に資する活動」、「米軍と自衛隊との一体化した活動」が自衛隊の本来任務に昇格する。さらに、この本来任務は、国民保護法に基づく各地域での自衛隊の活動の具体化を法的に位置づけたものである。

そして、5月の米海軍、6月の自衛艦の相互入港を実施することにより、法案の先取り、既成事実の積み重ねの第一弾だと考えられる。現実的には、地域において星条旗ならびに日の丸をいかに地域住民に慣れさせるかということだろう。
現実の時代背景に後押しされた国民保護法に対しては、さらに困った現実が私達の大きな障壁となってこの問題を見え難いものにしている。

それは、国民保護法はマルチハザードの概念で成り立っているからだ。全ての危機管理のための法を包括した位置付けとして想定されている為、国民には、国民の保護法という理解の流れに方向付けられている。政府は既にその法体系として「緊急事態基本法」を自由民主党、公明党、民主党の3党での合意に漕ぎ着けている。緊急事態とは、我が国に対する武力攻撃、並びに大規模な自然災害等の国及び国民の安全に重大な影響を及ぼす緊急事態のことである。さらに、日本の有事法制は、武力攻撃が予測される事態については国会の承認を経ず、緊急対処が可能とされている。これとて常識的に受け入れ容易な見解である。

防災、避難訓練のまといを被った国民保護法の実働訓練に対しては、反対の意思を明確にしていかなければならない。その為には訓練内容の破綻を究明して、その本質は国民の保護ではなく軍隊の独占であることを証明する必要がある。またそうすることで、それが、「在日米軍再編」の下で実施される、なぜ国民の保護法なのかを根本的に考え直す契機にしなければならない。
 
「9月1日都民防災の日」に米軍が本格的参加をするらしい。横田基地からのヘリコプター作戦だ。ここから「在日米軍再編」と国民保護法の空恐ろしい「在日米軍再編」が日本の平和を脅かし危険な状況に落とし込めていく物語が始まる。そして、この段階から日本の国民を保護するのではなく、米国の国益を守る為の盾に日本人を国民保護訓練に駆り立てるのが国民保護法の実態として浮かび上がってくる。以上を考えると国民保護法は米国の戦争の為の日本の戦争準備法ともいえる。従って「在日米軍再編」と国民保護法はセットになっていると考えた方が良い。

今後、各地域の自衛隊駐屯地名称は「自衛隊法」改正に伴い名称を変更する。その時に、現在機能している都道府県の各行政での危機管理室は自衛隊へ移行する。和歌山県においては、その為に現在の自衛隊和歌山地方連絡部は増改築工事を行っている。そして、7月31日から名称が「自衛隊和歌山地方協力本部」に改名され、県の「危機管理室」対応業務担当を設置することになっている。都市によれば「国民保護法推進室」が設置されると聞いている。全国津々浦々日本は在日米軍基地に侵食されるだろう。日本の国土と国民の人権を守るために整備した国民保護法だったが、結果的にはトンデモナイ米軍保護法だった訳だ。米国は戦争する国、何でもありが当たり前だ。しかし私達はそうであってはならない。

現在、私達の置かれている状況は極めて充塞されたその中の個人になっている。従って、だんだん権力に対して戦略方法が持てない状況に追い込まれつつある。しかし、国民保護法に抗する運動は、平和を守るための私達に残された運動の一つである。粘り強く戦略を回らし推進していかなければならない。

                                              2006年7月12日
                                                岩 畑 政行
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2006年07月11日

恐れぬに至らぬ理由日本の脅威を優先しているのは、敵地攻撃、先制攻撃をも辞さないという虚勢反応で裏付けられているが、そもそも専守防衛論としてもこの論は破綻している、さらに「新世紀の日米同盟」にあっては単独敵地攻撃など有り得るはずがない。もし仮定すれば、その時は歴史の繰り返しで米軍から攻撃されることを覚悟しなければならない。現実的に考えて今日そのような判断はどこを突いても出てこない話である(しかし、日本の軍事、平和研究家は真剣に攻撃される可能性について言及している)。

本題の恐れぬに至らぬ理由について述べる。先ず、「米軍は北朝鮮を攻撃しない」というのが現実の帰結である。理由は極めて簡単、これは、ブッシュ政権以前のクリントン政権の時もそうであった。深層は、北朝鮮に軍事攻撃をした場合の国益と損害、費用便益分析の範疇を超えてしまう現実が横たわっている。今回の発射ミサイルで正確さを誇ったスカッドCは韓国ソウル、ノドンは沖縄を標的にしている。所謂「在韓米軍」と「在日米軍」を標的に出来る。

問題は38度線からソウルはいかにも近距離過ぎるという地理的戦略不可能な条件にある。これはクリントン、ブッシュ両大統領が現実にヘリコプターで上空視察しての最終判断である。ここで日本人は在韓米軍について少し考えてみる必要がある。朝鮮半島分断の歴史的背景から韓国民と米軍の関係は、日本におけるそれとは比較できない歴史的契りがある。また、自国防衛から米軍との一体はこれからの「在日米軍再編」を彷彿とさせる蜜月時代を経験している。所謂韓国に米軍は根ざしている状態にあるという現実は既に半世紀の経緯は伊達に推移していないということだ。現在、在韓米軍の兵力は約3万5千人といわれている。家族を合わせれば相当数の人数になる。従って、今回のスカッドミサイルの攻撃を受ければ必ずかなりの死傷者を出すことは火を見るよりも明白なことである。

以前、金正日総書記は朝鮮半島を「火の海にしてやる」と豪語したことがあったように、そのミサイル数は500基ともいわれ、狂った野望はとんでもない結末を披露しないとも限らない。従って、米軍はその為の敵基地ピンポイント攻撃による壊滅作戦を虎視眈々と狙っているのだが、上述したように、国境からソウルは近すぎるのである。発射された場合は確実にミサイル何発かは着弾する。従って、被害を避けることが出来ない戦略環境での戦いを宿命づけられている。

現在、米軍はさらなる泥沼化したイラク戦争で2千5百人以上、さらにアフガニスタで戦死者を出している。その為にブッシュ政権への批判が集中して政権最低の支持率に落ち込んでいる。その為の回復パフォーマンスは、拉致問題への共感、小泉首相とのプレスリー墓参り等の並々ならぬ努力を繰り広げている。この状況においてイラク以外で多数の死傷者を出すということは、論外中の論外なのである。ブッシュ政権は疎か共和党自体の出番がなくなる事態に発展しかねない最悪のシナリオを選ぶことは絶対的に無いということだ。然らば日本は何も「恐れるに至らぬ」ということだ。
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2006年07月03日

世界の日米同盟歴代各国首脳のプレスリーの墓参りは前代未聞とのことである。外国メディアはこの茶番光景について最大限に皮肉った記事を連日掲載しているらしいが、しかし、日本のマスコミは訪米の記事すらどういう訳か報じていない。まさか首相の個人的訪米扱いの訳ではあるまい。

日本を悪の枢軸国に導いた張本人と会談して、世界に「世界の日米同盟」共同文書を発表するという、5年間の総仕上げに訪米するのである。結果、日本は歴史的屈辱記念日を宣言しに行く訳だから、日本政府、日本国民にとって最大関心事でなければならないはずだ。万が一、北朝鮮が「テポドン2号」を実験発射すれば戦争も辞さない防衛方針の確約調印を行う。これを戦後最大の危機一髪会談と言わずして、何を危険と証するのか。どう思い巡らしても不思議である。だれも、「小泉首相訪米反対」と言わない。

「在日米軍再編」反対の声が広がりつつある状況にも拘らず、だれも「反対」を叫ばない、不思議だ。26日、唯一、産経新聞はワシントン大学のヘンリー・ナウ教授との会見「小泉・ブッシュ時代」について掲載している。内容の最後は、「5年余り、その結果としての日米首脳会談の歴史的な意義だという。」この文言が訪米の全てを物語っている。
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