国際平和協力法案(恒久法)と9条改憲

小泉首相は、先に開かれたシーアイランドサミットで、「主権移譲」後のイラク駐留多国籍軍への参加を、ブッシュ米大統領に約束した。6月18日、名古屋地方裁判所において、われわれが提訴した歴史的な自衛隊のイラク派兵差止訴訟第一回口頭弁論が開かれたその日に、イラクで編成される多国籍軍に自衛隊を参加させることを閣議決定した(イラク特措法施行令改正及び基本計画変更の閣議決定)。
 これにより、イラクに主権が移譲され、新たな多国籍軍が編成される6月末に、自衛隊は戦後初めて多国籍軍に参加、一員となる。

 政府は従来、多国籍軍への参加は他国の武力行使と一体化するものとして違憲であり、許されないと説明してきた(内閣法制局見解)。
 これに対し、今回政府は自衛隊の活動はあくまでも「非戦闘地域」で行われるものであり、日本の指揮下におかれ、多国籍軍の指揮下におかれるものではないから「他国の武力行使と一体化するものではない」と説明している。
 しかし、「指揮権が別個である多国籍軍」などという概念は国際法上ありえない。
「日本の主体的な判断の下で活動」し、「統合された司令部の指揮に従い活動するものではない」というのは詭弁であり、明白な憲法違反を糊塗するものに他ならない。
 さらに「米英両政府から公式に了解された」とする文書は、内容も不鮮明、米英の誰が「了解」したのかも不明というものであり、これで「他国の武力行使と一体化するものではない」ことを担保したなどというのは、まさに国民を欺くものでしかない。
 
「国連安保理決議1546」での多国籍軍参加は9条解釈論を一気に超えた、後戻りできない日本の針路を決定付けたことにおいて、小泉内閣の公罪は後世に伝えられるべき将来に禍根を残すものとなった。状況は2月26日小牧空港からイラクへ自衛隊を派遣した時とは次元が違う。このことは、自衛隊のイラク派兵での曲がりなりにもイラク特措法による国民への説明責任を果たす姿勢が窺われたのに比べ、訪米でのブッシュと単独会談中の口頭約束で決めてしまった、国会事後承諾のことからして問題の本質を隠蔽しなければならなかったことが窺われる。イラク特措法案の延長で自民党の万能薬、人道復興支援を差し出せばなにも問題はないと一連の小泉パフォーマンスで逃げ切ったことは国民を愚弄したことに値する。

今後日本は日米同盟に基づき多国籍軍の名の下に軍事行動を実施すると世界に宣誓した、欧米と同じ先進国として自民党が掲げる普通の国を証明したことになる。しかし、喚起しなければならないことは、満場一致の「国連安保理1546」多国籍軍ではあるが、ドイツ、フランス、ロシアが不参加の現実である。各国の当初からの主張「イラク戦争に大義はない」、従ってイラクへの出兵は行わないという各国政府の首尾一貫した姿勢の表れ、「大義のない戦争」に参加させないという国民世論が反映していることである。自衛隊の多国籍軍参加の糾弾されるべき事態は、反戦、平和運動を展開する私達に最悪の打撃を与えることになった何時もの常套手段のシナリオがある。近年の米国の戦争を省みて、先手必勝の絡繰、既成事実の先行、その結果、自由と人道復興の為には現状の起因を検証するより優先事項として戦後処理、復興に取り組むことが民主主義の確立、自由の保障を達成させる為の最重要課題であり、先進国としての世界平和への貢献になる、憲法前文を逆手に取る小泉内閣手法にまんまと騙されるという筋書きのことである。 (平和の声・通信【格物致知】3月27日)