呉氏も老残の同舟か

4月1日、産経新聞新紙面に森羅万象をばっさり切る辛口コラム「断」の掲載が始まるが目に止まった。社会面の初日タイトルが「吉本の幻像の罪」とある。何とも言えぬ違和感をもったので読むことにした。内容は新刊『中学生のための社会科』の紹介に対してばっさり切ったものであるが、これには全く興味がない。

しかし、私もこの筆者、評論家の呉智英をばっさり切りたくなった。 『この本のオビでは加藤典洋、長谷川宏がまた絶賛。こういうトリマキたちのふりまく「吉本の幻像」が思想界の頽廃(たいはい)に拍車をかけているのだ。』と論じている。吉本隆明氏は4,5年前だったか、湘南の海岸で溺れたとき既に柄谷行人に論壇から葬り去られている。

呉氏の『老残もここまできたかとあきれた』のは良いとして、内容で問題になっている「現実感覚の欠如」そのもので氏にそのままお返ししなければならない。当の昔に「思想」は凋落仕切って、衰残の独り善がりにおちている現実認識が欠如していることを。