敵地攻撃、先制攻撃 この専守防衛論は破綻している

恐れぬに至らぬ理由日本の脅威を優先しているのは、敵地攻撃、先制攻撃をも辞さないという虚勢反応で裏付けられているが、そもそも専守防衛論としてもこの論は破綻している、さらに「新世紀の日米同盟」にあっては単独敵地攻撃など有り得るはずがない。もし仮定すれば、その時は歴史の繰り返しで米軍から攻撃されることを覚悟しなければならない。現実的に考えて今日そのような判断はどこを突いても出てこない話である(しかし、日本の軍事、平和研究家は真剣に攻撃される可能性について言及している)。

本題の恐れぬに至らぬ理由について述べる。先ず、「米軍は北朝鮮を攻撃しない」というのが現実の帰結である。理由は極めて簡単、これは、ブッシュ政権以前のクリントン政権の時もそうであった。深層は、北朝鮮に軍事攻撃をした場合の国益と損害、費用便益分析の範疇を超えてしまう現実が横たわっている。今回の発射ミサイルで正確さを誇ったスカッドCは韓国ソウル、ノドンは沖縄を標的にしている。所謂「在韓米軍」と「在日米軍」を標的に出来る。

問題は38度線からソウルはいかにも近距離過ぎるという地理的戦略不可能な条件にある。これはクリントン、ブッシュ両大統領が現実にヘリコプターで上空視察しての最終判断である。ここで日本人は在韓米軍について少し考えてみる必要がある。朝鮮半島分断の歴史的背景から韓国民と米軍の関係は、日本におけるそれとは比較できない歴史的契りがある。また、自国防衛から米軍との一体はこれからの「在日米軍再編」を彷彿とさせる蜜月時代を経験している。所謂韓国に米軍は根ざしている状態にあるという現実は既に半世紀の経緯は伊達に推移していないということだ。現在、在韓米軍の兵力は約3万5千人といわれている。家族を合わせれば相当数の人数になる。従って、今回のスカッドミサイルの攻撃を受ければ必ずかなりの死傷者を出すことは火を見るよりも明白なことである。

以前、金正日総書記は朝鮮半島を「火の海にしてやる」と豪語したことがあったように、そのミサイル数は500基ともいわれ、狂った野望はとんでもない結末を披露しないとも限らない。従って、米軍はその為の敵基地ピンポイント攻撃による壊滅作戦を虎視眈々と狙っているのだが、上述したように、国境からソウルは近すぎるのである。発射された場合は確実にミサイル何発かは着弾する。従って、被害を避けることが出来ない戦略環境での戦いを宿命づけられている。

現在、米軍はさらなる泥沼化したイラク戦争で2千5百人以上、さらにアフガニスタで戦死者を出している。その為にブッシュ政権への批判が集中して政権最低の支持率に落ち込んでいる。その為の回復パフォーマンスは、拉致問題への共感、小泉首相とのプレスリー墓参り等の並々ならぬ努力を繰り広げている。この状況においてイラク以外で多数の死傷者を出すということは、論外中の論外なのである。ブッシュ政権は疎か共和党自体の出番がなくなる事態に発展しかねない最悪のシナリオを選ぶことは絶対的に無いということだ。然らば日本は何も「恐れるに至らぬ」ということだ。