「夢舞台万葉不老館」(仮称)に対する提案書

   「夢舞台万葉不老館」(仮称)を考える会世話人会  各位
                 和歌山市観光振興室  殿


年明けの6日、旅田前市長の旧不老館跡地を巡っての収賄容疑による逮捕を知り市民として非常に怒りを感じています。
収賄事件の発端になった跡地には、既に「夢舞台万葉不老館」(仮称)の下に芸術、文化発信の建物として完成しつつあります。

今回の前市長逮捕に対してのマスコミ関係の対応は連日の全国版報道からみて事の重大性を強調しているものと思います。今回の逮捕は、昨年暮に「不老館事件 建設会社社長起訴」という、国土利用計画法違反、詐欺罪で逮捕されている報道があってから時間の問題とされてきました。7日の全国版朝刊には、完成間近の「夢舞台万葉不老館」(仮称)と14年前に景観運動で話題になった「不老橋」と「新あしべ橋」の景観写真が掲載されています。また、朝日新聞和歌山版は一面で「やはり 年明け騒然 」、「嘆き、憤り渦巻く県都」、さらに「チェック機能なし、恥ずかしい、徹底解明を」と報道されています。

ここに掲げた記事の見出しは、「チェック機能なし」は市の職員、「恥ずかしい」は一般市民、「徹底解明を」は市民団体のそれぞれの不老館事件に対する感慨、率直な「声」です。また、市民の「声」を裏付ける事実、内容等が報道されて、全く「市政全体が腐敗している証拠」だとの思いを強く持った市民は少なくないと思います。それに拍車を掛けているのが、2代続く市長汚職事件が背景にあります。まさに、これを「恥ずかしい」と言わずして何をということでしょう。                 
有識者委員会、市職員を無視して暴走を許した背景は一体何だったのかを考えるとやはり私達市民もその責任の重さを実感しなければならないでしょう。
さて、私達は市民参加を標榜して今日まで、「夢舞台万葉不老館」(仮称)の運営について長期に渡り議論を重ねてきました。建物の完成を目前に控えて、運営に関する内容等を充実させるべき市民運営の理念を培ってきました。昨年暮れに、大枠ではあるがその方向性も見出せてきました。それは、偏にこの施設に対する私達の熱意と愛情の表れであったと思います。しかし、仕掛け人であった旅田前市長の逮捕という事件を考えると、当初から吹聴されてきた市民参加型、地域の意見を反映した公共事業への関わりそのものを見直ししなければならない状況にあることを考えさせられます。結果論ではあるが、市民参加を逆手に取った巧妙な手口で私達市民を騙したということです。しかし、この問題は市政内部だけではなく、騙された私達市民側にも言えることです。

問題の舞台は観光振興室になっていますが、これは市政全体の問題です。また、この施設の運営に関して、一般公募に基づいて参加してきた私達ですが、ことの重要性から鑑み市民全体の問題としてもう一度原点に戻りこの施設の最大限の有効運用を考える必要があると思います。また、そうすることが今日の状況を打開する最も常識ある市民の判断だと考えます。既に、市長は「ほとんど完成しており、多大な損失を受けることになる。活用することが市民の期待に応えることになると思う」と表明しています。私達もそのように思います。しかし、「活用」は事前から計画されたプログラムを単に遂行するだけでは全く今回の教訓を活かせないままになります。それは、市政にとっても市民においても言えることです。決められた計画は必ずやらなければならないという旧来の行政の典型的な悪しき伝統を継承するに過ぎません。全国に発信されたこの忌まわしい事件を払拭するのは、私達和歌山の市民に課せられた使命です。

この施設の「活用」は、この事件の透明な経緯説明、また、徹底的な疑惑の解明をした後に一旦市民に返上して、施設としてどう活用すべきかを問うのが最善の方法であると思います。その結果から導き出された内容に基づき今日まで培われてきた私達の議論を反映させてこの施設を蘇らせることが大事な「活用」の方向性であると考えます。
従って、現況の「夢舞台万葉不老館」(仮称)にまつわる業務を疑惑の解明が済むまで一度停止状況に置くことが最も望ましい判断であると思われます。和歌山市政、観光振興室ならびに世話人会の英断を要望します。                                                                                    岩畑 正行                                 2003年1月15日