2008年08月16日
グルジア戦争と日本の能天気
グルジア戦争の真相と日本の能天気
そもそも、グルジアとの生活圏的関連がない日本にとって今回のグルジア戦争は、現在世界で繰り広げられている43件の紛争、戦争その他の一つでしかないと政府、マスコミ、ジャナリストは考えているようだ。また、日本人のほとんどが知らないか関心をもっていない。それ程グルジアという国は日本にとって遠い国であるということだろう。
しかし、今回の当事国ロシアにとっては眼下のお膝元、同盟国の紛争であり、ブッシュ大統領のように北京オリンピックを楽しんで居られる状況ではないのだ。開会式後直ぐに飛行機に乗り込み現地北オセチアの州都ウラジカフカスに入り、難民の激励を兼ねてグルジア制圧の軍事陣頭指揮に立ち、ロシアにプーチンありを先ずはグルジアに、そして世界にアピールしたのとは、雲泥の差がある。
プーチンロシア軍による電撃的グルジア制圧に関し、余りの速攻攻撃に対して、欧米マスコミは周到に準備されたロシアのグルジア侵攻説を疑う論調を発信した。
特に日本のマスコミはその論調を鵜呑みに国内に報道、単純に天然資源をめぐる権益紛争の類で括って処理しようとしている。
従って、紙上には、「露の野心、封じ込め躍起」さらに「米国、グルジアへ人道支援」という見出しが掲載されることになる。
これまでの日本のマスコミ報道では、グルジア紛争の真相、即ち紛争の発端と経緯が伝えられない状況で紙上は、「米国の人道支援」という囮マスコット人形が一人歩きし始めている。
紛争経緯に関しては、欧米のマスコミ論調を横流しするに止まり、記事を読み拾って気付くのは、朝日新聞社説の曖昧無責任な報道の一行である。
8月10日朝日新聞社説は、タイトル「グルジア紛争―武力では決着できぬ」で、『今回の衝突がどんなきっかけで始まったのか、はっきりしない。グルジア政府軍が自治州の制圧を目指して進攻し、ロシア側が反攻に出て戦闘が広がったというのが大きな構図だ。』と論じた。
しかし、この時点においては、米国内のメディアですら、米国支援でのグルジア政府軍が南オセチア自治州での分離独立派を攻撃、州都ツヒンバリへ侵攻したことが事実だと報じられていた。
つまり、分離独立派に対するグルジア政府の制圧が攻撃目的だったと位置づけられている。さらに、その背景はこれまでにマスコミで報じられているグルジアのNATO加盟をめぐる政策と米国との密約があると。
8月2日前後から、グルジア国内の南オセチア自治州の分離独立派とグルジア軍の間での小規模な戦闘があったが、直ぐに調停の動きもあったといわれている。そして奇しくも8日、北京オリンピック開会日に合わせての総攻撃は、独裁軍事覇権国家のなせる戦略といえる。米国、ブッシュ大統領はローラ夫人、バーバラさんと3日間、オリンピック観戦を続け11日の帰国をみても、さらにライス長官が、グルジア政府に侵攻を制止した等と噂が飛んだが、少なくともロシアの攻撃を直接批判しなかったことは事実のようである。即ち、グルジアのサーカシュビリ大統領の独断先攻勇み足だとの傍観体制を装ったといえる。
日本のマスコミは、グルジア侵攻攻撃説、米国の後押しによるグルジアの南オセチア自治州に対する侵攻だとする報道に躊躇っている。それは、政府自体が米国との関連に触れたくないのを反映してマスコミが自己規制して言及したくないのである。また、一部マスコミの偏向報道、ロシア軍のグルジア領土速攻攻撃が計画的であったとするロシア性悪説を受け入れる方が紛争原因の解決に早く落ち着かせる風潮を読み取っている節がある。
しかしながら、想起しなければならない今年春の紛争があった。それは話題性が多いセルビア・コソボ独立問題だ。コソボの国際治安部隊は国連部隊となっているが、実質的にはNATO軍の管理体制だ、そして課題はコソボのEU加盟とNATO軍の一員を担うことだ。
ロシアはセルビア・コソボ空爆ではソビエト連邦崩壊という国内事情から完全な後塵を配した経験がある。しかし、プーチン帝国ロシアに変貌を遂げてからは、一切の妥協を許さない帝国としての威厳を示している。現に、今年2月に勃発しているコソボ独立をめぐる小競り合いに関して、プーチン大統領は、南オセチア自治州の分離独立を支持、いかなる手段を講じても守るとグルジア政府ならびにEU諸国に明言している。
従って、ロシア軍は常にこの地域に関して臨戦態勢を強いているので、今回の迅速なグルジア首都に対する空爆、商業地域の制圧は、グルジア軍が旧ソ連製軍備から米国製に変わった時点から用意されていたもので何らこの速効攻撃は不思議なものではない。不思議なのは、プーチン大統領が警告を発しているにも拘らず、安易にNATO軍の援軍頼りに南オセチア自治州へ侵攻したサーカシュビリ大統領の戦略だ。
ロシアは早速、グルジアの南オセチア自治州攻撃を「民独浄化」と批判して「戦争犯罪」で糾弾する作業に掛かっている。そこで、グルジア国内からもサーカシュビリ大統領の失脚は免れないだろうとの観測がでている。
世界では、グルジア戦争の原因、背景がグルジアのサーカシュビリ大統領の独断専行が禍したとの見方が大勢を占めてきている。さすがに日本のマスコミも現況ではそれらしき論調を掲載しなければ格好が付かなくなっているのが現状だろう。16日朝日新聞は社説「グルジア紛争―米ロの対立を懸念する」で初めてことの真相を社説で述べている。 『今回の紛争は、グルジア軍が南オセチア自治州の分離勢力を攻撃したことが発端だったようだ。ロシアの平和維持部隊や自治州の住民に多数の犠牲者が出た、とロシアは主張している。』(朝日社説)
そして、ここにきてブッシュ米政権のグルジアへの「人道支援」名目の米軍介入の可能性を懸念して、 欧州連合(EU)の和平協議などによる模索を提言、停戦の実現と紛争の沈静化を訴えている。
しかしながら、米ロ懸案事項になっていた米国のMD計画は、12日ポーランドがミサイル防衛計画に基本合意した、グルジア戦争の真っ最中に実現した現実は、決定的な米国とロシアの対立を鮮明なもの、修復できないものとみるのが順当であろう。従って、グルジア戦争終結案は、ロシア側全面的有利に解決を図らなければ、ロシア軍完全撤退には至らないだろう。
さらに、米国の「人道支援」という軍事介入は、強化されることはあっても、これを契機に米軍駐留を継続するであろう。既に、次期米国大統領候補のマケインは、11日ペンシルベニア州での演説会において、「グルジア支持」の大演説をぶったと報じられている。今回のロシアの軍事行動に対して、マイナスの影響を思い知らせるといった内容のもので、「我々は行動に踏み込むときがきた」と云わんばかりの強硬演説だったと伝えられている。マケインの主張する「行動に踏み込む」とは、覇権国家のシナリオである、軍事介入するという断言である。また、オバマ候補にしても、マケインほどの強硬ではないにしろ、対グルジア政策はマケインと大して変わらない姿勢であり、世論を睨んだ政策に終始することは間違いない。
ということは、今後のグルジア問題の展開は、またもや米国の泥沼外交の延長に帰することになり、強いては「人道支援」の拡大による日本へのとばっちりが予想される。即ち、次期大統領の米軍のアフガン増派政策に、日本のアフガン支援が必携となってくることだ。グルジア問題における米ロ関係は、対岸の火事ではなく、日本にとって最重要課題の一つになった訳だ。日本がグルジア国を知らなくても、必然的に日米同盟関係に大きく影響する。
従って、日本のマスコミの無責任な経緯説明ならびに平和志向の停戦案等の事なかれ主義報道は、完全に能天気だと云わざるを得ない。
米国が、他国に対して「人道支援」を行うということは、取りも直さず日本も何らかの軍事介入をすることだ、日本国民は今後さらに徹底して肝に銘じておく必要がある。
そもそも、グルジアとの生活圏的関連がない日本にとって今回のグルジア戦争は、現在世界で繰り広げられている43件の紛争、戦争その他の一つでしかないと政府、マスコミ、ジャナリストは考えているようだ。また、日本人のほとんどが知らないか関心をもっていない。それ程グルジアという国は日本にとって遠い国であるということだろう。
しかし、今回の当事国ロシアにとっては眼下のお膝元、同盟国の紛争であり、ブッシュ大統領のように北京オリンピックを楽しんで居られる状況ではないのだ。開会式後直ぐに飛行機に乗り込み現地北オセチアの州都ウラジカフカスに入り、難民の激励を兼ねてグルジア制圧の軍事陣頭指揮に立ち、ロシアにプーチンありを先ずはグルジアに、そして世界にアピールしたのとは、雲泥の差がある。
プーチンロシア軍による電撃的グルジア制圧に関し、余りの速攻攻撃に対して、欧米マスコミは周到に準備されたロシアのグルジア侵攻説を疑う論調を発信した。
特に日本のマスコミはその論調を鵜呑みに国内に報道、単純に天然資源をめぐる権益紛争の類で括って処理しようとしている。
従って、紙上には、「露の野心、封じ込め躍起」さらに「米国、グルジアへ人道支援」という見出しが掲載されることになる。
これまでの日本のマスコミ報道では、グルジア紛争の真相、即ち紛争の発端と経緯が伝えられない状況で紙上は、「米国の人道支援」という囮マスコット人形が一人歩きし始めている。
紛争経緯に関しては、欧米のマスコミ論調を横流しするに止まり、記事を読み拾って気付くのは、朝日新聞社説の曖昧無責任な報道の一行である。
8月10日朝日新聞社説は、タイトル「グルジア紛争―武力では決着できぬ」で、『今回の衝突がどんなきっかけで始まったのか、はっきりしない。グルジア政府軍が自治州の制圧を目指して進攻し、ロシア側が反攻に出て戦闘が広がったというのが大きな構図だ。』と論じた。
しかし、この時点においては、米国内のメディアですら、米国支援でのグルジア政府軍が南オセチア自治州での分離独立派を攻撃、州都ツヒンバリへ侵攻したことが事実だと報じられていた。
つまり、分離独立派に対するグルジア政府の制圧が攻撃目的だったと位置づけられている。さらに、その背景はこれまでにマスコミで報じられているグルジアのNATO加盟をめぐる政策と米国との密約があると。
8月2日前後から、グルジア国内の南オセチア自治州の分離独立派とグルジア軍の間での小規模な戦闘があったが、直ぐに調停の動きもあったといわれている。そして奇しくも8日、北京オリンピック開会日に合わせての総攻撃は、独裁軍事覇権国家のなせる戦略といえる。米国、ブッシュ大統領はローラ夫人、バーバラさんと3日間、オリンピック観戦を続け11日の帰国をみても、さらにライス長官が、グルジア政府に侵攻を制止した等と噂が飛んだが、少なくともロシアの攻撃を直接批判しなかったことは事実のようである。即ち、グルジアのサーカシュビリ大統領の独断先攻勇み足だとの傍観体制を装ったといえる。
日本のマスコミは、グルジア侵攻攻撃説、米国の後押しによるグルジアの南オセチア自治州に対する侵攻だとする報道に躊躇っている。それは、政府自体が米国との関連に触れたくないのを反映してマスコミが自己規制して言及したくないのである。また、一部マスコミの偏向報道、ロシア軍のグルジア領土速攻攻撃が計画的であったとするロシア性悪説を受け入れる方が紛争原因の解決に早く落ち着かせる風潮を読み取っている節がある。
しかしながら、想起しなければならない今年春の紛争があった。それは話題性が多いセルビア・コソボ独立問題だ。コソボの国際治安部隊は国連部隊となっているが、実質的にはNATO軍の管理体制だ、そして課題はコソボのEU加盟とNATO軍の一員を担うことだ。
ロシアはセルビア・コソボ空爆ではソビエト連邦崩壊という国内事情から完全な後塵を配した経験がある。しかし、プーチン帝国ロシアに変貌を遂げてからは、一切の妥協を許さない帝国としての威厳を示している。現に、今年2月に勃発しているコソボ独立をめぐる小競り合いに関して、プーチン大統領は、南オセチア自治州の分離独立を支持、いかなる手段を講じても守るとグルジア政府ならびにEU諸国に明言している。
従って、ロシア軍は常にこの地域に関して臨戦態勢を強いているので、今回の迅速なグルジア首都に対する空爆、商業地域の制圧は、グルジア軍が旧ソ連製軍備から米国製に変わった時点から用意されていたもので何らこの速効攻撃は不思議なものではない。不思議なのは、プーチン大統領が警告を発しているにも拘らず、安易にNATO軍の援軍頼りに南オセチア自治州へ侵攻したサーカシュビリ大統領の戦略だ。
ロシアは早速、グルジアの南オセチア自治州攻撃を「民独浄化」と批判して「戦争犯罪」で糾弾する作業に掛かっている。そこで、グルジア国内からもサーカシュビリ大統領の失脚は免れないだろうとの観測がでている。
世界では、グルジア戦争の原因、背景がグルジアのサーカシュビリ大統領の独断専行が禍したとの見方が大勢を占めてきている。さすがに日本のマスコミも現況ではそれらしき論調を掲載しなければ格好が付かなくなっているのが現状だろう。16日朝日新聞は社説「グルジア紛争―米ロの対立を懸念する」で初めてことの真相を社説で述べている。 『今回の紛争は、グルジア軍が南オセチア自治州の分離勢力を攻撃したことが発端だったようだ。ロシアの平和維持部隊や自治州の住民に多数の犠牲者が出た、とロシアは主張している。』(朝日社説)
そして、ここにきてブッシュ米政権のグルジアへの「人道支援」名目の米軍介入の可能性を懸念して、 欧州連合(EU)の和平協議などによる模索を提言、停戦の実現と紛争の沈静化を訴えている。
しかしながら、米ロ懸案事項になっていた米国のMD計画は、12日ポーランドがミサイル防衛計画に基本合意した、グルジア戦争の真っ最中に実現した現実は、決定的な米国とロシアの対立を鮮明なもの、修復できないものとみるのが順当であろう。従って、グルジア戦争終結案は、ロシア側全面的有利に解決を図らなければ、ロシア軍完全撤退には至らないだろう。
さらに、米国の「人道支援」という軍事介入は、強化されることはあっても、これを契機に米軍駐留を継続するであろう。既に、次期米国大統領候補のマケインは、11日ペンシルベニア州での演説会において、「グルジア支持」の大演説をぶったと報じられている。今回のロシアの軍事行動に対して、マイナスの影響を思い知らせるといった内容のもので、「我々は行動に踏み込むときがきた」と云わんばかりの強硬演説だったと伝えられている。マケインの主張する「行動に踏み込む」とは、覇権国家のシナリオである、軍事介入するという断言である。また、オバマ候補にしても、マケインほどの強硬ではないにしろ、対グルジア政策はマケインと大して変わらない姿勢であり、世論を睨んだ政策に終始することは間違いない。
ということは、今後のグルジア問題の展開は、またもや米国の泥沼外交の延長に帰することになり、強いては「人道支援」の拡大による日本へのとばっちりが予想される。即ち、次期大統領の米軍のアフガン増派政策に、日本のアフガン支援が必携となってくることだ。グルジア問題における米ロ関係は、対岸の火事ではなく、日本にとって最重要課題の一つになった訳だ。日本がグルジア国を知らなくても、必然的に日米同盟関係に大きく影響する。
従って、日本のマスコミの無責任な経緯説明ならびに平和志向の停戦案等の事なかれ主義報道は、完全に能天気だと云わざるを得ない。
米国が、他国に対して「人道支援」を行うということは、取りも直さず日本も何らかの軍事介入をすることだ、日本国民は今後さらに徹底して肝に銘じておく必要がある。