先日、新閣僚会議の席位置が決まった、菅首相の両脇に留任した前原国交相岡田外務相だ。ところで、留任の根拠は判らない訳ではないが、このご両人の8か月前の初就任から、その仕事ぶりを眺めれば、当初は両者ともその分野において威勢のよい言動が目立ったように記憶するが、昨年末から最近は、漠然とした歯切れの良くない発言が耳障りになってきたという感じに終始しているとしか考えられない。

旧政権自民党時代の時もよくいわれた、「与党ボケ」の類いではないかと思わせる言動が、両大臣に限らず見うけられる。どういうことかといえば、政治主導で始まった民主党中心の連立政権が、前政権型と余り変わらないのではないかという疑問だ。

外交機密費、普天間、JAL債権問題、高速道路無料化、八ッ場ダムを筆頭にしたダム事業廃止問題等、全て尻窄まりになっているが、先日も可笑しな陳腐な発言をしているのには、いよいよ本格的な「与党ボケ」に陥ってしまったのかと愕然とするしかない。

12日の産経新聞は、「前原国交相が静岡空港を視察」と報じている。最後の県営空港として、採算を度外視した揉めに揉めて着工した曰く付きの公共事業である。日本の公共事業は赤字を前提に事業開始をするのも珍しくなくなったとはいえ、静岡空港も例に洩れず現実だが、この実態に対して前原国交相は、素人が聞いても仰天ものの発言をおこなっている。
 
静岡空港を訪れた前原国交相は「つくったものは徹底的に利活用する。(静岡空港は)うまくいっている例だ」との認識を示した。だが、開港前の県の需要予測138万人に対し、1年間の利用実績が約61万人と半分にも満たなかったことについては「予想自体がめちゃくちゃ。もっと国がきっちりと関与すべきだ」などと語った。

「盗人猛々しい」とはまさにこのことをいうのであって、前原大臣の思考停止状態がよく伺われる、官僚が主導して予算組も全て行ってこの言い草である。最近の前原大臣は、全てこの調子だ。官僚とがっちり与してするしかないと諦め(思考停止した)とも取れる発言になっている。つまり、「与党ボケ」の顕著な表れであり、政治家の本能であるポジション、権力志向が板に付いてきた、本物になってきたということだろう。さらに、その意味で執務室の椅子の値打ちが「与党ボケ」を後押しすることになっている。

自民党議員が与党の役職についても、もともと権力志向の塊、カネの代名詞といった感じなので余り違和感を覚えないが、野党民主党議員が政権要職を担うと、所変われば品変わるで、「ほんとかよ」とか「話が違うな」ということになり、その変貌ぶりと無能ぶりがどっと露呈することになる。そしてこの傾向は、どういうことになるかというと、自民党前政権よりも政治的にも悪い状況に進むということだ。その最たるものが、鳩山前政権での「日米合意」がそれだ。

民主党の現閣僚は、鳩山前首相の「日米合意」を非常に評価している訳だが、その理由は日米関係のあり方に一歩も二歩も前進があると説明している。その内容は、辺野古海上基地1800メートル滑走路での米軍との共同使用が盛り込まれているというのだ。その根拠は、鳩山前首相が普天間問題を通じて勉強した結果、「抑止力」の重要性を知り「自主抑止力」を高める為にも米軍との共同利用する辺野古滑走路が必要であるというのだ。何ともそら恐ろしい解釈か、行く行くはそうなると思っていたが、この際一気に「自主抑止力」を高める必要から、又もや「日米合意」に踏み切ったとは恐れいった。

思い起こせば4年前、筆者も「2プラス2日米協議」に疑義を抱き、「在日米軍再編」に絶対反対の声を上げなければ、日本はいよいよトンデモナイ事態になると警鐘する手立てに奔走したものだが、当時、護憲信奉の熱狂がその声を完全に掻き消してしまっていたというご時世であった。そして、「政権交代」を実現させたという民主党が、恐れていた現実を実現する決定を下したのだから人生何があるか判らない。

鳩山前首相の意向を受けた菅内閣は、政党支持率V字型回復をやってのけ、「日米同盟基軸」政策を遂行すると高らかに宣誓した。従って、もはや絶望である、見直しによる僅かな展望も語られることはないだろう。「自主独立路線」と「日米同盟」による段違い平行棒状態で全てが展開される。

「政権交代」から約9ヶ月、民主党は、鳩山前首相はトンデモナイことを仕出かしてくれたものだ。私たちが政治を考えれば考えるほど、日本はトンデモナイ国に向かっていくような気がする。皮肉なことに、団塊の世代内閣は、同じ世代の私たちに、そろそろ人生から退場せよということのサインを突き付けたのかも知れない。

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