今やすっかり民主党新聞の看板を掲げる「日刊ゲンダイ」は、今回大胆な選挙広報、民主党への投票呼びかけを行っている。全国紙としては珍しいことである。

いよいよ選挙日まで残すところ5日を切った訳だが、大手各紙の世論調査はかなり正確な票どりを算出してきている。言えることは最近の世論調査(民主党は過半数ピンチ…みんなの党が第三党へ)はそれなりの結果を伴うので、各党は世論調査に神経質にならざるを得ない。今回の「日刊ゲンダイ」の民主党への投票呼びかけもその一つの表れだと思う。しかし、紙面のタイトルとその内容は、露骨を飾るようで、恥も外聞もない、これが公共性あるマスコミの主張化と思わせる内容で読むほうが赤面するものだ。ここまで肩入れしなければならない根拠はどこにあるのだろうと訝しく考えさせられてしまう。先ずはこの調子だ。

7月3日に掲載さえているタイトルは、「決断迫られる選挙民 今この国の有能政治家は全員民主党に結集している」になっている。

 政治評論家の有馬晴海氏は「自民党の一部は小池百合子元防衛相にしたいようです。というのも、小池であれば、日本初の女性首相という売りものができる。逆に言えば、それくらいしか、自民党にはセールスポイントも人材もいなくなっているのです」
 参院選でも応援で目立っているのは1年生の小泉進次郎というていたらく。

自民党に対しては、政治が出来る人材が皆無に等しいとまでバッサリ切って捨てるが、民主党については、『それにひきかえ、民主党にはベテランから若手までなかなかの人材が揃っている。ベテランから若手までキラ星のごとく人材がいる』と捲し立てている。そして、いつものごとく、「政権交代」を実現させたのは、小沢一郎先生であると誉めちぎり、その他はキラ星の人材とヨイショの大盤振舞だ。そして、『この層の厚さは大したものだ。』となる。さらに、今回の若手候補者が素晴らしいと続くのだ。正に、何かに中ったような民主党賛辞で紙面が塗りつぶされているのだ。そして、極めつけの御負けは、『菅直人の奇兵隊内閣は庶民派内閣が売りだ。日本の将来を託す参院選では、こうした人材の厚みも吟味して、投票に行くべきだ。』となる。ここまでくればヤケクソかと思うより、立派と褒めるしかない惨状になっている。

この状況を受けて、真っ当な有権者からは、話は分るが、ちょいといきすぎではないかと話題になっている。いくらなんでも、1面に大見出しで、「選挙民は民主党一本に投票する必要がある」(6月30日発売号)と掲げ訴える姿勢は、民主党ビラと何ら変わらない。ネット上の「2ちゃんねる」では、公選法違反ではないかと盛り上がっているそうだ。1日の「Jキャストニュース」(『日刊ゲンダイ「民主に投票呼びかけ」 公選法違反といえないがネットで波紋」』)はこの話題を取り上げて、マスコミの特定政党への投票呼びかけは、公選法に触れないのかを論じている。

選挙は一種祭り事だから少々派手な文言が並んで丁度よいとする向きもあるが、今回の参議院選挙は、日本の局面を決定付ける極めて重要な選挙であることを思い起こす必要がある。今の日本は、三か月前はひと昔のような時間軸になってしまい、今の話題で物事を決定し続ける慣習になっている。もはや、鳩山、小沢前政権の陰りも感じさせずに時代が進みつつある。前政権時での問題は、完全に払しょくされたが如く将来を展望するという、さらに、同じ与党政権党であっても、所変われば品変わる方式で大きく政策転換をする状況が出来つつある。

争点のすり替えは、なにもこの選挙に限ったことではないが、今回も財政再建を最大スローガンに掲げ、増税止むなし論、景気対策に軸足を置いているが、全く争点になっていない。むしろ各党が避けている沖縄の普天間基地移設問題が完全に過去の決着済みとして扱われている。

一月前は、日本の安全保障のあり方、最後の「日米安保」見直し論が沸騰寸前に話題性を提供していた筈が、「菅政権誕生と同時に「日米合意」が前提の更なる「日米同盟の深化」がカナダサミット日米首脳会談で合意されてしまっている。普天間問題の公約実現が果たせなかった、その為に引責辞任したことで決着を図った、それが「日米合意」ということであるが、地元合意なしの政府間政治決着は、この場合は、今回は特別に沖縄県民ならびに国民との合意形成が優先される事柄である。

鳩山前首相が辞めて、これで日本が永劫的に「日米同盟」を深化させますということにはならない、そんなバカな話はない。とすれば、鳩山前首相という始めから終りまでよく解からなかった国会議員の罪は万死に値するどころか、国賊として国民裁判にかけなければならない。現実に宜野湾市の伊波洋一市長が国を相手に、合意の無効確認提訴(政府、訴訟争う構え 仙谷氏 宜野湾市の提訴意向で)に踏み切るらしい。

既に話題にならなくなったが、沖縄から政権政党の候補者が出せないというのは、前代未聞で、「あ、そうか」の次元の話ではない。にも関わらず、政権与党が、外交、普天間問題を争点から隠す現状(外交・安保論争が低調=「普天間」避ける首相−参院選)の方向付けを率先している。この現実は看過できない事態である。

このような現状を真剣に憂うとすれば、小沢民主党を掲げる植草一秀氏のような見解に至ることになりかねない。7月5日のブログタイトル、「庶民大増税=大企業減税阻止が参院選最大争点」で、結論は『参院選での民主党大勝を確実に回避しなければならない。』というものだ。そして、極めつきの呼びかけになる。

そのためには、小沢一郎氏に近い候補者を個別に支援し、政党としては国民新党や社民党をしっかりと支援することが必要である。
参院選後に政界の大洗濯を実行しなければならない。

前回にも結論で述べたが、植草一秀氏の主張は満更でもない。因みに、「満更でもない」は、かなり気に入ったという意味であると書いたが、今回は最終回なので、筆者からも呼び掛けることにする。こと外交、安全保障の問題で、真っ当に普天間基地問題を論じられるのは社民党でしかない。また、前回、政党として筋を通したことを評価して支持するのは、当然、国民の義務的投票行為であると考える。そして、候補者を一巡すれば、過去の実績からも保坂展人ということになる。
そこで、自問自答したい、「本当に民主党でよいのか」。